赤外線リモコンは、通信というより、「手元スイッチ」の代用として開発されました。
赤外線リモコンは、簡単なスイッチのオンオフ情報を赤外線信号に変換して家電製品に送信
することを前提に作られています。
リモコンボタンを押した瞬間に、「強力で短い瞬間的な赤外線パルス」を発生させるように
なっています。また、転送に必要なデータはオンオフ情報など、非常に短いデータであるた
め、通信速度は300〜1200ビット/秒程度までの通信速度に対応しています。
基本原理は単方向通信方式
リモコンと家電製品が1対1に対応して、リモコンを特定の家電製品にリモコンを向けて使用するため、
赤外線信号は細いビーム状(赤外線ビームの広がりは大半のものが5度以下) になっています。
そのうえ、リモコン信号が家電製品に正しく到達したかどうかは、操作する人がいるので、
その人が確認すればよく、あえて通信の仕組みとして通信の成功、失敗を確認する必要は ありません。
赤外線リモコン方式の特徴
赤外線リモコンの通信方式は、人手に頼った通信方式ですので、データ通信のエラーの
検出が自動化できないこと、電力消費量が大きいこと、データ通信速度が比較的遅いこと
などのために、大量の連続したデータ転送に向いていません。
また、赤外線リモコンという意味では、メーカー同士の互換性の必要性はないので、
データ転送の方式として規格が統一されていません。多目的リモコンなどは、
各社のリモコンの通信規格を搭載したものや、
実際の赤外線データを学習してリモコン機能を実現しているのはこのためです。
IrDAの通信規格は、PDA、ノートパソコンをはじめとした情報家電製品のデータ通信方式として十分に活用できるように
設計された通信方式です。そのため、低消費電力、通信速度 の向上、
データの信頼性を基本に設計されています。また通信方式はリモコンと異なり、双方向通信方式です。
通信ケーブルの置換えという発想
ポータブルな情報家電同士のデータ通信として、コードレスで通信できる範囲は、0cm〜1m
程度です。また、装置を手で持ったままデータ転送をすることを考えているため、多少のぶれ
をカバーできるように赤外線ビームも30度程度に広げられています。長さ1m程度の通信ケーブ
ルの置き換えという発想から規格が作られました。
消費エネルギーは1/100以下
省エネルギーの観点から、赤外線の発光量を極力押さえてなおかつ十分な通信速度を確保で
きる赤外線変調方式を採用しています。たとえば、小型情報端末にてIrDA方式を使用して、
9600ビット/秒のデータ転送を行っている場合、赤外線LEDが発光している時間は1/25以下、
赤外線パワーもリモコンモードよりも小さく押さえられています。したがって、通信速度を
含めて同じデータをリモコン方式で転送する場合とIrDA方式で転送する場合のデータ単位
あたりの消費エネルギーは1/100以下です。
通信手順を定めたプロトコル
IrDA通信方式は、赤外線の物理的な特性(パルスの形状など)以外に、通信データの互換性を
保証するために通信手順が定められており、どのように赤外線パルスとして必要なデータを
載せるのか、データの誤りをどのように検査して、必要があれば修正して再送すればいいか
をIrDA規格で厳密に定義しています。このような、通信手順の制御機構のことをプロトコルと
呼びます。